阿部 知行
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Last Update 2023/05/26
私の専門は数論幾何で、特にp進コホモロジーを研究しています。数論幾何は数論的な方程式、さらに一般に数論的な多様体を幾何学的手法を用いて研究する分野です。例えば整係数方程式が与えられたとき、どのようにして位相的な情報を取り出せるでしょうか? 一つの方法として方程式によって定まる複素多様体のコホモロジーを取るということが考えられます。この方法では種数などをとらえられますが、 上と 上の多様体の違いがとらえられません。60年代にグロタンディークは数論的な性質を反映しているエタールコホモロジーを定義しました。このコホモロジーは特異コホモロジーの類似と見なせ、現代の数論幾何で重要かつ基本的な役割を果たしています。一方、彼はクリスタリンコホモロジーと呼ばれるドラームコホモロジーの類似のもっと解析的な理論も提唱しています。私は数論的D加群と呼ばれるこの理論の変動を研究しており、特にラングランズの観点から様々なコホモロジー間の関係に興味を持っています。
近年物理学者によって幾何学的ラングランズと“S双対”の間の関係が指摘されています。物理学者の直感を数論に持ち込めればとても興味深いと思っています。
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