私は主に素粒子論的宇宙論の研究を行っています。特に、インフレーション宇宙論、宇宙のバリオン数生成、アクシオンに関する宇宙論に興味をもっています。インフレーション宇宙は地平性問題などの標準宇宙の問題を解決できるだけでなく、初期密度揺らぎを生成することができ、それがWMAPやPlanckなどによる宇宙背景放射の観測で確かめられ、宇宙論の新たなパラダイムとなっています。私はインフレーションを超重力理論の枠組みで実現する研究や超重力理論で予言されるグラビティーノの宇宙論的影響からインフレーション後の再加熱温度に制限を与える研究を行ってきました。また、インフレーションによってそれ以前にあった物質は薄められてしまうので、バリオン数やダークマターはインフレーション後に作られなければなりません。私は超対称性理論で実現されるアフレック・ダイン機構によるバリオン数生成と、それに伴って生成されるQボールと呼ばれるノントポロジカルソリトンについて研究しています。さらに、ダークマターの有力な候補であるアクシオンについて、その宇宙論的影響を調べています。