これまで宇宙マイクロ波背景放射(CosmicMicrowaveBackground=CMB)の偏光観測を用いた初期宇宙論の研究を実験的な観点から進めてきました。現在、CMB偏光観測はインフレーション仮説を検証する有力な方法の一つとして世界的に注目されており、カブリIPMUでも掲げる「真の根源的な問い」に対して正眼の構えで挑む実験です。CMB実験は、その科学目的の面白さもさることながら、日常的に広範囲な物理がツールとして求められます。それは相対論的宇宙論から天文学、熱統計、光学、超伝導、力学、電磁気などなど。さらには実験技術として半田付から、Cryogenics、設計や機械工作、並列計算やら色々。ゆえに、日常の手元のことが初期宇宙まで繋がっていることを実感できる研究テーマです。カブリIPMUは学問の枠にとらわれず、根源的な問いに迫ることに共感する研究者が集う研究所だと理解しており、ここでCMB実験を用いたインフレーション探索を進められることを楽しみにしております。