梅田 泉
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Last Update 2024/05/14
私の専門は核医学、放射性医薬品化学です。これまで国立がん研究センターで新規がんイメージング製剤の開発に取り組んできました。核医学ではプローブ(放射性医薬品)と呼ばれる放射線(γ線)を出す薬を体内に投与し、その薬が特異的な組織、期間あるいは一連のプロセスに取りこまれる動きを体外から検出器で捉えて疾病の診断をします。生きたままに、生きている状態(生理機能)を可視化する診断法です。また、α線やβ-線放出核種に換えれば、体内に散らばった転移がんなどを狙い撃ちすることも可能です。「診ながら治す」次世代治療として期待されています。
核医学にとってプローブと検出器はいわば車の両輪です。両方が揃って初めて進歩が生まれます。Kavli IPMUでは、宇宙観測のために開発された高感度放射線測定装置を医学領域に応用しようというプロジェクトが始まっています。この検出器は従来にない高い空間分解能と高いエネルギー分解能をもち、新しい核医学を生み出す大きな可能性を有しています。私は今後、Kavli IPMUにおいてこの新しいプロジェクトの一員として、装置開発チームと力を合わせ、この装置の性能を最大限に活かすプローブを開発することで、新しいがんイメージング、核医学治療の創出に貢献したいと考えています。
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