高田 昌広
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Last Update 2023/08/29
私の主たる研究テーマは、観測的宇宙論で、特に宇宙階層構造がどのように形成してきたのかを理解することに関心があります。現在の標準的な構造形成シナリオは、インフレーション宇宙などの初期宇宙で生成された原始密度ゆらぎが、主として暗黒物質による重力の不安定性で成長し、宇宙階層構造を形成してきたというものである。また、宇宙の加速度膨張を引き起こしている暗黒エネルギーも、宇宙膨張を通して構造形成過程に影響を及ぼし得る。さらには、質量を持つことが判明しているビックバン背景ニュートリノも構造形成に特徴的な痕跡を残す。すなわち、宇宙観測で得られる様々な観測量の精密測定から、宇宙構造形成の形成過程および時間進化を復元することで、「暗黒物質」、「暗黒エネルギー」、「ニュートリノ」の性質を制限することが可能になる。これが私の現在進めている研究の最終ゴールです。
これまでの主な研究成果としては、①宇宙大規模構造による重力レンズ効果の測定から暗黒エネルギーを制限する方法の提案、②すばる望遠鏡のデータを用い、銀河団における暗黒物質の空間分布の復元、③有限質量ニュートリノが及ぼす構造形成への影響の研究、などがあります。
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