戸田 幸伸
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Last Update 2022/11/21
代数多様体とは多項式の零点集合で定義される幾何的対象で、放物線や円の様にその性質は古くから研究されてきました。一方、近年カラビーヤウ多様体と呼ばれる特殊なクラスの代数多様体が超弦理論において重要な役割を担っており、更に超弦理論の側からミラー対称性予想という興味深い予想が提唱されています。これは見かけ上異なる数学的対象(代数多様体とシンプレクティック多様体)の間に対称性が存在するというもので、現在この予想は三角圏という抽象的な言語を用いて記述されています。代数多様体側に対応する三角圏は連接層の導来圏ですが、私はこの導来圏について研究してきました。
最近の主な仕事は、ある種の導来圏上の安定性条件の空間の記述、その上の(半)安定対象達のモジュライ空間の構成、等です。安定性条件とは超弦理論におけるBPSブレインを数学的に定式化している概念で、導来圏及びその上の安定性条件を調べることで、ミラー対称性以外にも様々な興味深い対称性を観察することが出来ます。導来圏をベースとした幾何学を構築し、安定性条件の理論を発展させることでこれらの対称性を統一的に理解できるのではと考えています。
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