高柳 匡
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Last Update 2024/11/12
我々の世界を電子やクォークといったミクロな立場で理解するには量子論が必要になりますが、一方、宇宙や天体のようなマクロなスケールを記述するのは一般相対論です。この両者を統合することは、宇宙の起源を明らかにすると期待され、理論物理の究極的な目標の一つです。これを実現する理論(量子重力理論)の最も有力な候補が超弦理論なのです。ですから、私は、「超弦理論は量子重力理論として新たに何を予言するのか」を研究しています。
例えば私達は、完全に安定で厳密に解け、かつダイナミクスのある量子重力理論を初めて構成しました。これは、時空が二次元と低次元で、現実と比べるとかなり単純ですが、すべてを厳密に計算できる現在ほとんど唯一の模型であり、タイプゼロ行列模型と呼ばれています。これを用いると複数個の宇宙を同時に記述したり、それらを量子力学的に重ね合わせるといったことも可能です。
最近は、量子情報理論で重要なエンタングルメント・エントロピーという量が量子重力理論でどのように役立つのか研究しています。特に、量子情報理論の様々な性質を微分幾何学的に理解することに成功しました。また、この成果はブラックホールのエントロピーの量子力学的解釈にも役立ちます。
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