私の専門分野は素粒子論的宇宙論です。何故どのように宇宙が生まれ、そして現在観測される様な宇宙の姿になったのか、こうして得られる宇宙像が示唆する素粒子物理は何か、という基本的な問いに答えたいと思い研究をしています。宇宙初期においては、日常生活で起きる自然現象とは全く性質を異にする、それ故に面白い現象が生じ得ます。例えば、宇宙初期にインフレーションと呼ばれる猛烈な宇宙膨張の時期があった事が確実視されています。この様な宇宙初期の現象が宇宙背景輻射の揺らぎの観測結果から分かる一方で、インフレーション終了後に如何にして様々な粒子が生まれたのか、物質と反物質の非対称性がどのように生じたのか、など十分に明らかになっていない事も多くあります。最近私は、超重力理論におけるインフレーション模型において、標準理論の粒子のみならずグラビティーノと呼ばれる超対称性粒子が一般に生じることを指摘しました。この発見が宇宙の熱史を理解していく際の重要な突破口となると期待しています。標準理論の先にある物理と宇宙論が描く世界を明らかにしたいと考えています。