野尻 美保子
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Last Update 2022/11/21
暗黒物質の存在は宇宙の大域的な観測によって確立し、それが未知の素粒子からなるという証拠も集まってきています。一方、いわゆる素粒子の「標準模型」では、暗黒物質を説明することはできません。また、暗黒物質の存在を説明しようとすると、素粒子模型を大きく拡張しなければならないのではないかと考えられています。
「暗黒物質とは何か」だけでなく、「それがなぜ宇宙に存在するか」も大きな問題です。暗黒物質は宇宙初期の高温の粒子と粒子の衝突から生まれ、宇宙が高速で膨張する中で消えずに残ったというのがひとつの説です。この説を確認するためには、実際に素粒子どうしを高エネルギーで衝突させるのが有効です。2008年から始まるLHC実験は、高エネルギーの陽子を今までの7倍のエネルギーで衝突させ、そこで起こる反応を調べることができる実験です。この実験は、標準模型では唯一未発見のヒッグス粒子や、暗黒物質をはじめとする未発見の粒子を探索することを目標の一つとしています。
最近のおもな研究は、この暗黒物質とLHC実験に関係しています。また、理論と実験との共同研究を重視し、国際的なワーキンググループなどにも関わっています。IPMUを広く海外の実験や理論の研究者の集まる場にしたいと思います。
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