樋口 岳雄
|
Last Update 2023/10/31
私はこれまで高エネルギー加速器実験Belleに参加し、素粒子標準理論の柱のひとつである「小林-益川理論」の証明などに従事してきました。現在では、私たちが知っている素粒子の振る舞いは標準理論によってほぼ完全に説明できます。他方、現在の宇宙には力の大統一や暗黒物質の正体など標準理論だけでは説明できない謎も残されています。多くの研究者は、標準理論とは低温宇宙での近似に過ぎず、それを内包した高温宇宙でも成立可能な未知の理論がこれらの謎に答えられると予想しています。ただ、未知の理論の現象は低温宇宙ではとても微かなはずです。そこで私たちはBelle実験用の加速器の性能を40倍に増強したBelle II実験によって微かな現象を捉え、未知の理論の構造を明らかにします。Kavli IPMUでは、実験への技術的な貢献として、粒子の崩壊位置を数10μmの精度で決定できる能力をもった崩壊点検出器を製作しました。検出器の調整を経て、2019年には実験を本格的に開始します。
Back to Member List.