私は，共形場理論に端を発する数学的理論に関する研究をしています．中でもW代数と呼ばれる共形場理論における重要な頂点代数の族に注目して，その代数構造や表現論に関する問題について研究しています．W代数の研究は，共形場理論の数学的構造を明らかにするだけではなく，アファインLie環やモジュラーテンソル圏の理論，さらには量子幾何学的Langlandsプログラムとも関連しており，表現論に関わる様々な理論を密接に関連づける重要な役割を担っていくと考えられます．私がW代数の研究に用いている主なツールはスクリーニング作用素です．スクリーニング作用素はW代数の新しい実現を与えるとともに，W代数の間の非自明な同型の証明に用いることができます．最近では，Feigin-Semikhatov予想と呼ばれるW代数の間の双対性の証明に用いており，表現論へ応用したりW代数の幾何学的実現との関連を調べています．